他職種との連携とは
「他職種」とは「他の専門職」の事です。自分が「介護職」であれば、身近な他職種と言えば「看護師」になることでしょう。
利用者の様子が普段と違う様子でおかしい。バイタル(体温・血圧)を測定したら、いつもと違う数字。
といった場合、まず看護師に相談します。これが「他職種との連携」です。「関わり」の事を「連携」と言い換えているのです。
施設(特養や老健)など大きな事業所では、他職種との連携がより大切になります。
他職種は「看護師」だけではありません。
「医師」・「薬剤師」・「理学療法士」・「作業療法士」・「言語聴覚士」・「管理栄養士(栄養士)」などがあります。
それぞれの職種の専門を、おおまかで良いので把握しておくと、適切な連携ができます。
- 姿勢が保てない。体が良く傾く。→理学療法士、作業療法士
- 食べ物の飲み込みが悪く、苦しそう。→言語聴覚士、管理栄養士(栄養士)
- 顔色が青い。本人も苦しそう。→医師、看護師
介護福祉士の問題では、利用者の状態に応じてどの職種と連携すべきか出題されます。
他職種との連携の出題
「嚥下」に関わる、他職種との連携の出題です。
施設における介護福祉職と他職種との連携として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。<第30回>
1 食事時に咳込む利用者の嚥下機能の評価を、作業療法士に相談する。
2 寝たきりの利用者の仙骨部に発赤を見つけたときは、看護師に相談する。
3 体重減少が続いている利用者に気づいたときは、社会福祉士に相談する。
4 車いすでの食事時に姿勢が崩れてしまう利用者に気づいたときは、言語聴覚士に相談する。
5 嚥下困難のある利用者に提供する食事内容を,歯科衛生士に相談する。
「嚥下」に関わる「他職種」=「専門職」とのかかわりです。この問題では「嚥下」以外の問題文(選択肢)もあります。ここで嚥下以外の用語を覚えてしまいましょう。
選択肢1
1の「作業療法士」は何の専門家でしょうか。似たような職に「理学療法士」があります。同じ「療法士」なのでやっている事は似ています。
介護福祉士試験勉強をする上で、厳密に使い分ける必要はありません。
ただ、この問題では「作業療法士」であろうと「理学療法士」であろうと、「嚥下機能の評価」を相談する相手としては、あまり適切ではありません。
復習になりますが「嚥下」とは「飲み込む事」です。「飲み込む事ができているか判断する」のが「嚥下機能の評価」です。
ここでは「嚥下機能の評価」=「言語聴覚士」と覚えましょう。
選択肢2
「発赤」は読めますか?「ほっせき」です。「はっせき」とも読むようですが「ほっせき」のほうが良く聞かれます。
「褥瘡(じょくそう)」も難しい漢字です。とりあえず「褥瘡(じょくそう)」=「とこずれ」と覚えましょう。皮膚が悪くなってしまう事です。「褥瘡(じょくそう)」になってしまうと、治るのに時間がかかってやっかいです。
発赤を見つけたら「看護師」に相談するのがベストです。看護師に処置してもらうか、看護師の指示をあおぎましょう。
この問題では「医師」がいればもちろん「医師」でも構いません。しかし「看護師」のほうがより適切です。
「医師」は結局「看護師」に処置を指示する事になるのと、「看護師」より人が少ない(居ない)、忙しいからです。
選択肢3
「体重減少」を相談するなら「栄養士」です。
「社会福祉士」は「何でも相談屋」のイメージがあり、実際にそういうところもあります。もちろん「社会福祉士」に相談しても良いのですが、この問題に対してはもっとふわさしい職種があります。「栄養士」です。「社会福祉士」は「からだ」の事よりも「生活」の相談に強いです。
選択肢4
「姿勢」に関する専門職は「理学療法士」です。
「言語聴覚士」は「飲み込み」や「しゃべり方」の専門家です。
「作業療法士」は「理学療法士」に近い存在ですが、この問題では「理学療法士」がふさわしいです。
選択肢5
5の「食事内容」の専門家は「栄養士」(または管理栄養士)です。利用者に提供する=出す食事内容を考えているのが「栄養士」です。
「歯科衛生士」は「歯の手入れ」の専門家です。
まとめ
「嚥下」に関する問題でも、「嚥下」の知識だけでは解けない問題でした。このような問題は、他の知識もまとめて勉強するのに都合が良いです。
こういう問題で知らない用語をあいまいにせずに、きちんと理解して覚えておけば、別の形で同じ用語が出題されてもあわてずに済みます。