目次
冬期は特に入浴中の急変に注意
寒くなってくると楽しみなのがお風呂。入りたがらない利用者も、浴槽で温まればニッコリ。
しかし冬は寒さと、お風呂の暖かさの温度差があります。高齢者は入浴中の急変に気を付ける必要があります。
以上の注意点・4点を押さえて入浴中に急変しないようにしましょう。
ヒートショック
「ヒートショック」とは「温度差で血圧や脈拍が急激に変わって体調不良になる」事です。
室温差がある所を行ったり来たりすると、体が対応するべく血圧を上げたり下げたりします。脈拍も変わります。高齢者になるほど心臓に負担をかけてしまいます。
脳卒中や心筋梗塞になってしまうリスクがあります。
ヒートショックになる原因は「寒暖差」です。
ヒートショックを予防するには
脱衣室をしっかり暖かくしておくことです。脱衣室に暖房器具を置きましょう。
特に入浴後、脱衣室が冷えていると、せっかく温まった体が急激に冷えてしまって不快ですね。
熱中症
「熱中症」とは「高温多湿な所に居る事で体調不良になる」事です。
「熱中症」と言えば真夏の病気のイメージがあります。しかし真冬でも条件がそろえば、熱中症になってしまうのです。
真夏は外にいるだけで「高温多湿」、真冬は気持ちいいお風呂場が「高温多湿」です。冬はそれに加え、室温差もあって「ヒートショック」の原因にもなります。
熱中症を予防するには
短時間(5分程度)で入浴を済ませましょう。長くても10分程度で浴槽から出てもらいましょう。
湯温を確認しましょう。41℃以下が良いです。冬の空気で冷えた体には、41℃は熱く感じます。
脱水状態
脱水状態になるとひどい場合は、意識がぼーっとしてきて、体が思うように動かなくなります。そのままお風呂から出られなくなり、意識がなくなってしまう事もあります。
高齢者はトイレに行きたくないから、水分補給はしない傾向があります。普段からの水分補給が肝心です。
脱水状態を予防するには
入浴前後に水分補給をしましょう。特に入浴前に水分補給です。
!!カフェインやアルコールは水分補給になりません!!
麦茶以外のお茶(緑茶・ほうじ茶・紅茶など)やコーヒーはカフェインが入っています。
カフェインには興奮作用があります。心臓に負担をかけてしまう可能性があります。「利尿作用」と言ってかえって体の水分を減らしてしまう事もあります。
アルコールも水分補給になりません。体の水分を奪って外に出してしまい、飲む前よりも体の中の水分が減ってしまいます。
たちくらみ(意識障害)
座っている状態や寝ている状態から、急に立ち上がるとフラフラしてしまいます。これがたちくらみです。たちくらみも意識障害です。
たちくらみは、高齢では姿勢を保ちきれず転倒してしまいます。
筆者も高齢者の入浴介助で、何度もたちくらみを見てきました。介助者がいる場合は、すぐに介助されて何とかなります。しかしいない場合は、やはり転倒してしまうのです。
たちくらみではなくても、意識障害は冬のお風呂で誰もが経験しています。お風呂で温まってついウトウト眠気が出てきます。良くある事ですね。これが意識障害です。
高齢になると意識障害から回復せず、そのままずるずると浴槽の中に落ちてしまい、溺れてしまいます。
たちくらみ(意識障害)を予防するには
浴槽から出る時は、ゆっくり姿勢を変える。急に立ち上がらない。
急に立ち上がろうとして体がうまく動かせず、浴槽の中で脚が滑ってパニックになってしまう利用者を何度も見てきました。
「さあ出るぞ!」と声を出して、手足を浴槽の中で動かします。立つための姿勢を整えて、少しずつ立ち上がるようにしましょう。
まとめ
冬のお風呂は気持ちいいものです。しかし湯船の中で命を落とす人もいます。入浴時の死亡者数は年間1万9000人もいるとのこと。
「あ~極楽、極楽」と湯船に浸かっているうちに、意識が無くなって、本当の極楽に行かないように気を付けましょう。
- 寒暖差をなくしてヒートショックを予防
- 熱中症にならないよう早めにお風呂からあがる
- 脱水しないよう、しっかり水分補給をする
- たちくらみに注意し、ゆっくり立ち上がる
以上の4点に気を付けて、冬のお風呂を楽しみましょう。