嚥下という言葉
介護の仕事を始めると、様々な専門用語にぶつかります。「嚥下」という言葉もその一つです。
「嚥下」は、分かりやすく言い換えると「飲み込む事」です。
嚥下の「嚥」という漢字は難しい漢字です。ただし介護職ならば、書けなくても読めるようにしておきましょう。
また一般的には使われない用語です。家族や利用者などに説明するときは、簡単な言葉に言い換える必要があります。
言い換えができるという事は、理解しているという事です。理解できなければ、分かりやすい説明ができません。
本やインターネットで情報はたくさん手に入ります。自分にとって分かりやすい方法で情報を手に入れましょう。
実務に就いているなら、リハビリ職(特に言語聴覚士)や栄養士に聞いてみるのも一つのやり方です。
同じ「嚥下」という言葉であっても、リハビリ職にとっての「嚥下」と栄養士にとっての「嚥下」は、見る角度が違います。
自分の中で聞いた事、調べた事をまとめておけば、家族にも分かりやすい説明ができるだけではなく、試験にも柔軟に対応できます。
嚥下障害者の飲食物
「嚥下」とは「飲み込む事」という事しか分かっていない前提で、進めます。他のサイトにあるような「正解」はあえて目立つようにはしません。解説を読んで理解し、覚えましょう。
嚥下障害者の飲食物
嚥下障害がある利用者に提供する飲食物として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。<第30回>
1 レモンジュース
2 だんご
3 プリン
4 牛乳
5 紅茶
飲食物が5つあります。どの飲食物が「飲み込む事」に「障害」がある利用者に、最もふさわしいのでしょうか。
この問題は「嚥下障害にはつるっとした食感のゼリー状のものが良い」と覚えておけば一発で解けます。知らなかったら、ここで覚えてしまいましょう。
万が一忘れてしまった場合に備えて、解いてみましょう。
5つの選択肢をグループ分けをします。飲み物、食べ物に分かれます。
- 飲み物:レモンジュース、牛乳、紅茶
- 食べ物:だんご、プリン
飲み物は「ゴクリ」と飲み込みます。飲み込むための力が必要で、嚥下障害のある利用者には難しいです。これが「コーヒー」、「ココア」、「野菜ジュース」、「炭酸ジュース」であっても同じです。
残りの食べ物のうち「だんご」は問題外ですね。飲み込む前に「咀嚼(そしゃく)」=「かみ砕く」事が必要です。
「だんご」は「かみ砕いて」から「飲み込む」必要があります。「嚥下障害」のある利用者には困難です。
かみ砕く前に、飲み込んでしまって窒息してしまう事もあります。「白玉(白玉だんご)」や「お餅(おもち)」も「だんご」と同様ですね。
では「ゼリー」でも「こんにゃくゼリー」はどうでしょうか?こちらは弾力が普通のゼリーよりもあります。
「かみ砕」かないと、のどに詰まらせてしまう危険性があります。飲み込む事が苦手な「嚥下障害」のある利用者には向きません。
「こんにゃくゼリー」、「だんご」、「白玉(白玉だんご)」、「おもち」は、喉に詰まって窒息しやすいです。
毎年のようにお正月は、高齢者が喉に詰まらせて窒息したニュースが報道されています。
残った「プリン」が正解となります。「プリン」が正解なら、その代わりにもしも「ゼリー」があったら正解になります。「ヨーグルト」も近いですね。
と、このように考えていけば、今後同じような問題が出ても対応ができます。
まとめ
「嚥下」の過去問を二つ取り上げただけでも、こんなボリュームになりました。特に2番目は他職種の役割の理解が必要です。
「嚥下」=「飲み込む事」に直接かかわる専門職は「言語聴覚士」や「栄養士」です。しかし直接利用者と関わる事の多い「介護福祉士」は、利用者の状況が一番よく把握できます。
把握した上で的確に他職種へ情報提供する必要があります。
一つひとつの問題文を掘り下げて考えていくと、このように手間と時間はかかります。
しかし必ず力になってきて、後半になればなるほど、積み重なった知識が役に立ち、勉強がスムーズに進みます。実務にも活用できます。
しんどいのは慣れるまで、知識がある程度付くまでの辛抱です。必ず力が付くと信じて、勉強を進めましょう。