2019年の介護福祉士筆記試験で、フランクルや防虫剤の問題が出て話題になりました。このような問題(難問・珍問・奇問)の対策について考えます。
後回しにして、解ける問題を確実に得点にする。
難問・珍問・奇問対策の基本
時間をかけすぎない事。期待をかけすぎない事です。
時間をかけても正解を導けない問題は、初めから落とすべき問題としましょう。他の基本的な問題で、しっかり点数を稼ぐのが基本です。
毎回のように最初のほうで難問・珍問・奇問が出題されます。受験生を惑わし、難易度を意図的に上げるのが目的です。
最も危険なのは、解く事に夢中になって時間が足りなくなって慌ててしまったり、いつまでもズルズル気にして他の問題に手がつかなくなったりする事です。
フランクル問題に挑戦
2019年実施の問題2で出題された問題です。
問題2
『夜と霧』や『死と愛』の著作があるフランクル(Frankl,V.)が提唱した価値の説明として、適切なものを1つ選びなさい。
- 公民権運動により差別を解消すること。
- 生命が制限される状況において、いかなる態度をとるかということ。
- 最低生活水準を保障すること。
- ライフサイクル(life cycle)を通じたノーマルな発達的経験をすること。
- アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃すること。
基本的にフランクルの知識が無いと解けない問題です。
この問題で出てくる著作者や著作を知らなければ、全く手に負えません。だから後回しにして時間が余ったら、推理で解くべき問題です。
解く際に、介護福祉士の試験に出題される問題である。という原点で取り掛かりましょう。
1の「公民権運動」や3の「最低生活水準」や5の「アパルトヘイト」は、福祉の教科書よりも、公民(社会)の教科書に良く出て来る言葉です。
残るは2と4です。著作の『死と愛』から連想して、選択肢2の「生命が制限される~」を選ぶ。というのはどうでしょうか。
実は過去問で似た問題が出ています。過去問をしっかりやっていれば、対応できる範囲の問題です。過去の似た問題も、このような推理で解く事ができます。
解答:2
フランクルの著書を紹介します。
過去にも同様のフランクル問題があった
筆者が受験した2016年の試験にも、フランクル問題と似たような問題がありました。「この子らを世の光に」の問題です。
一問目から出題されました。難問・珍問・奇問がトップバッターとして出てきたのです。筆者は早速この問題を捨てました。
余った時間で推理して解答しましたが、外れました。解くのに苦労が多い割に、実りの少ない問題です。
しかし2019年にフランクル問題が出た事で、この問題の解き方がフランクル問題でも使える事が分かりました!
2016年 問題1
糸賀一雄の「この子らを世の光に」という思想に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 経済的に生活できる社会的自立を保障する。
- 人間の発達を保障する。
- 困窮状態に応じて最低限度の生活を保障する。
- 障害者の職業の安定を図ることを保障する。
- 自由を制限する身体拘束の禁止を保障する。
題名「この子らを世の光に」からして何かしら推理はできるでしょうか。「光」から視覚障害者の事を指しているのかな?と予想できます。
フランクル問題と同様、福祉よりも社会の教科書に出てきそうな言葉を除いていきましょう。
1の「社会的自立」、3の「最低限度の生活」、4の「職業の安定」が除外できます。
2と5が残ります。2の「人間の発達」と5の「自由を制限する身体拘束の禁止」では、「この子ら」に関係がありそうですか?
「子」=「子供」はこれから成長していく存在。だから2の「人間の発達」が導けますね。
また、選択肢を良く眺めると「~を保障する」という文型になっています。
- 社会的自立を保障する。
- 人間の発達を保障する。
- 最低限度の生活を保障する。
- 職業の安定を図ることを保障する。
- 身体拘束の禁止を保障する。
2の「発達」だけが浮いている存在に見えます。
解答:2
糸賀一雄の著書を紹介します。
まとめ
このような問題は解けない・捨てる問題として割切り、他の問題で確実に得点を稼ぐようにしましょう。
この問題を解く一番の攻略法は、著作を知っているのが一番です。フランクルや糸賀一雄(いとが かずお)の著作をあからじめ読んでいれば、試験に対応できるでしょう。
しかし介護福祉士の試験勉強で、彼らは出てきません。趣味や教養として、彼らの著作に手を出した人のみ、知識として入っていて、対応できる問題です。
ここまで勉強でカバーしても1点を取れるかどうかです。労力の割に点数に結びつかないです。
いざという時に、この記事で紹介した解き方で対応ができる、と覚えておけば今後の類似問題に対応できるでしょう。